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第4話 ヴァルの村

Author: 雨音休
last update publish date: 2026-04-10 15:08:55

 ゴーレムを倒し終えると、ノーファンの村へと二人は転移した。

 辺りには木造りの民家が立ち並んでいる。遠くを見ると森や山があった。地面は土。その道路で、トウマとウミは隣り合って佇んでいた。

「普通の村だな」

「そのようですね」

「とりあえず、狩り場に行くついでに、村を見て回ってみるか」

「はぁい!」

 二人で並んで歩き出す。

 すぐに他プレイヤーの姿があった。

 横切っていく通行人。その顔色は明らかに沈んでいた。他にも座り込んでいる女性がいた。壁にもたれかかっている男。空を見上げている魔法使いふう。誰もが死んだ魚のような目をしている。

 異変に気づいたウミが声をひそめてつぶやく。不安に揺れる瞳。首をかしげている。

「何か、変じゃないですか?」

「そうか? 普通だろ」

「普通じゃないですぅ。みんな、元気が無いと思います」

「多分、金が無いんだろうな」

 道具屋の前を通りかかると、男性プレイヤーとNPCの店員が押し問答をしている声があった。男性プレイヤーは掴みかかるような物腰であり。

「この聖なる石ころは、さっきモンスターからドロップした物で!」

「はい。売価は3ヴァルになります」

「3ヴァルだとぉ? あと200ヴァルあれば宿代を払えるんです! どうか、200ヴァルで買ってください」

「それはできません」

「頼む。頼むってえ!」

「できません」

 トウマたちは無言でその隣を通過した。

 ウミが彼の腕のそでを引く。

「助けなくて良いんですか?」

「助けても稼げん」

「稼げないかもしれませんが、意義はありますよ?」

「それをすると俺が詰む」

 歩きながらトウマはステータス画面を開いた。

 そこにはログネストの利用料金も表示されている。

「24時間の利用料金、20000ヴァルか」

「何ですかそれ。高すぎですぅ」

「いや、妥当な金額だろうな。だけど、俺たちのヴァルは合わせてまだ600ほどしか無い」

「私のお金を含めるんですか?」

「そりゃあそうだろ。お前は俺の使い魔なんだから」

「ダメですぅ。私のお金は私のです!」

「マジか」

「大マジです!」

 ステータス画面を閉じた。それからも歩き続ける。

 ふと知らない女性プレイヤーが近づいて来て、トウマに媚びた笑顔を浮かべた。

「お兄さん、私を、買ってくれませんか? 一回一万五千ヴァルでいいですよ」

「用事はない」

 無視してさっさと通り過ぎた。

 ウミが顔をひどくしかめている。ほっぺたを膨らませてため息をつく。

「トウマ、この世界変ですぅ」

「そうか?」

「でも、トウマの宿代を稼ぐお手伝いはします」

 どう見たって小学校高学年くらいの身長しかないウミの頭にポンポンと手を置いた。彼女は嬉しそうに唇の端をつり上げる。スマイルが可愛かった。

「とりあえず、狩りに行くぞ」

「ちょっと待ってください! トウマ、私、お腹空きました」

 ウミがその場にしゃがみ込む。両手で腹を押さえていた。

 ぐぅーっと間抜けな音が鳴る。

「お腹が空きすぎて、動けないですぅ」

「マジか」

 トウマはステータス画面をまた開いて眺める。そこには満腹度が表示されていた。いま80%以下である。下がればHPとMPの自然回復が遅くなる。

「おい、ウミ。ステータスを出してみろ」

「ステータスですか?」

 ウミもステータス画面を出す。覗き込むと満腹度が0%だった。

 空腹で腹が痛いらしい。

 このままでは動けない。

「ウミ、立てるか?」

「……何とか」

 ウミが立ち上がる。

「とりあえず、道具屋へ行くぞ」

「ご飯を買ってくれるんですか?」

「仕方無いからな」

「すいません、ご主人様」

 二人は来た道を引き返す。

 腹が減っては、稼げない。

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輪廻
腹が減っては戦ができぬ……ウミは動き回ってたしそりゃあ空腹にもなるでしょう()
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